It was a dark windy night. #4

 ぼーっとしていると、どこからか声が聞こえてきた。

「王子! こんなところにいらっしゃったんですか」
「探しましたよ。王子!」

声のする方を見れば、二人のオークがすぐそばまで走ってきていた。

「なんだ、お前らか」
「なんだじゃ、ありませんよ。こっちはどれだけ心配したか」
「それに、ここに倒れてるのは誰ですか?」

さっきの男が倒れているのを見て声を荒げる。

「なんか僕を殺しにきたみたい。返り討ちにしたけど」
「だからいったでしょう! 一人で出歩くのは危ないって」
「そういわないでよ。どうにかなったんだから」
「はぁ」

大きなため息を一つついた。

「まったくお前がちゃんと見張ってないから」
「俺のせいにするなよ」

言い合ってる二人をよそに、僕は彼女のことを思い出していた。

「人間の女の子っていいな」
「人間の女? あんな生っちょろいのがいいんですか?」
「人間なんて成人しても、ほそっこいまましな。もっと肉付きが良くてむちむちっとしたのがいいよな。人間の女とオークの女じゃ抱き心地が全然違う」
「だよな? 王子は女を抱いたことがないから人間の女がいいとかいってるんですよ」

他にもなにかごちゃごちゃ言ってたみたいだけど、すでに一人の世界に入り込んでいて、二人のいうことはほとんど耳に入ってこない。
彼女との出来事がまだ頭の中をぐるぐると回っていた。