2005-11-01から1ヶ月間の記事一覧

It was a dark windy night. エピローグ

その日から、人気(ひとけ)のない泉のほとりで物思いにふける毎日が始まった。ぼんやりと彼女のダガーを眺めながら。名前も聞いてなかったんだよなぁ……。ダガーの刃には、製作者の銘が刻まれていた。『オールドスミス』と。彼女の父さんの名前はオールドス…

It was a dark windy night. #5

「へぇ、全然醜くないじゃん。むしろ、かっこいいよ。 なんだ、期待して損しちゃった。必死になって隠すからどれだけすごいのかと思ってたのに」僕の素顔をみて彼女はそういった。「何言ってるんだよ。僕はオークなんだよ? さっき君だっていってたじゃない…

It was a dark windy night. #4

ぼーっとしていると、どこからか声が聞こえてきた。「王子! こんなところにいらっしゃったんですか」「探しましたよ。王子!」声のする方を見れば、二人のオークがすぐそばまで走ってきていた。「なんだ、お前らか」「なんだじゃ、ありませんよ。こっちはど…

It was a dark windy night. #3

言葉と同時に携えていたロングスピアの鋒先をこちらに向ける。僕は男からの攻撃に備えて身をかたくした。しかし、すぐには仕掛けてこない。こちらの力量をはかりかねているのだろう。刹那が永遠に感じられ、その永遠が精神力を少しずつ削りとっていく。緊迫…

It was a dark windy night. #2

彼女はうーん、と少し考えてから「なんとなく、かな」と、ほほえみながら答えた。「そっか。なんとなくか」「うん。なんとなく」なんとなくで気配を読まれたんじゃ、戦士や暗殺者の商売あがったりだよ。……いや、そうじゃないか。単に僕が未熟なだけだな。プ…

It was a dark windy night. #1

僕は当てもなくロランシア平原を彷徨っていた。本当にまったく何の当てもなく。ただ自分の部屋にいるのがどうしようもなく息苦しくなって抜け出してきただけだ。いや、自分の部屋にいるのが息苦しくなって、というのはあまり正確じゃないかもしれない。僕が…

It was a dark windy night. プロローグ

とても風の強い夜だった。 空は一面厚い雲に覆われ、世界がまるごと頭から毛布でもかぶっているみたいだ。そのため、夜空の支配者たる月や星々は、世界の寝顔を覗き見をするといういつもの楽しみを奪われていた。今日はこの世界も平原のププや鹿達と一緒にさ…

It was a dark windy night.

こっちも転載。改行とか、一マス目の空白とかがうまくコピーされてないけど。