エランシア小説

It was a dark windy night. エピローグ

その日から、人気(ひとけ)のない泉のほとりで物思いにふける毎日が始まった。ぼんやりと彼女のダガーを眺めながら。名前も聞いてなかったんだよなぁ……。ダガーの刃には、製作者の銘が刻まれていた。『オールドスミス』と。彼女の父さんの名前はオールドス…

It was a dark windy night. #5

「へぇ、全然醜くないじゃん。むしろ、かっこいいよ。 なんだ、期待して損しちゃった。必死になって隠すからどれだけすごいのかと思ってたのに」僕の素顔をみて彼女はそういった。「何言ってるんだよ。僕はオークなんだよ? さっき君だっていってたじゃない…

It was a dark windy night. #4

ぼーっとしていると、どこからか声が聞こえてきた。「王子! こんなところにいらっしゃったんですか」「探しましたよ。王子!」声のする方を見れば、二人のオークがすぐそばまで走ってきていた。「なんだ、お前らか」「なんだじゃ、ありませんよ。こっちはど…

It was a dark windy night. #3

言葉と同時に携えていたロングスピアの鋒先をこちらに向ける。僕は男からの攻撃に備えて身をかたくした。しかし、すぐには仕掛けてこない。こちらの力量をはかりかねているのだろう。刹那が永遠に感じられ、その永遠が精神力を少しずつ削りとっていく。緊迫…

It was a dark windy night. #2

彼女はうーん、と少し考えてから「なんとなく、かな」と、ほほえみながら答えた。「そっか。なんとなくか」「うん。なんとなく」なんとなくで気配を読まれたんじゃ、戦士や暗殺者の商売あがったりだよ。……いや、そうじゃないか。単に僕が未熟なだけだな。プ…

It was a dark windy night. #1

僕は当てもなくロランシア平原を彷徨っていた。本当にまったく何の当てもなく。ただ自分の部屋にいるのがどうしようもなく息苦しくなって抜け出してきただけだ。いや、自分の部屋にいるのが息苦しくなって、というのはあまり正確じゃないかもしれない。僕が…

It was a dark windy night. プロローグ

とても風の強い夜だった。 空は一面厚い雲に覆われ、世界がまるごと頭から毛布でもかぶっているみたいだ。そのため、夜空の支配者たる月や星々は、世界の寝顔を覗き見をするといういつもの楽しみを奪われていた。今日はこの世界も平原のププや鹿達と一緒にさ…

It was a dark windy night.

こっちも転載。改行とか、一マス目の空白とかがうまくコピーされてないけど。

もんすたあさぷらいずどゆう エピローグ

「どうか、無事に帰ってきますように」 少女は、今もまだ祈り続けていた。たまに目を閉じると、彼女を襲った『モンスター』の姿が脳裏にちらつく。『ニンゲン』という名の『モンスター』の姿が。その姿を振り払う為に、一生懸命に兄の姿を思い浮かべようとす…

もんすたあさぷらいずどゆう surprise:6

ジギタリスの放ったブリスは、モンスターを直撃し、魔法の炎がそのモンスターを包み込む。炎が消えないうちに、と一気に男に駆け寄る。「おい、大丈夫か?」 聞こえていないのか、何の反応もなかった。肩を揺らしながらもう一度聞く。「変な悲鳴をあげてたが…

もんすたあさぷらいずどゆう surprise:4

「うん。いこっか」ベラドンナは返事をして、荷物をまとめはじめる。その間に、ジギタリスは二人分の勘定をすませた。「先に外でまってるから」一言だけ告げて、店からでていく。「ちょっとまってよ。ジギタリス」ベラドンナが準備を終えてようやく店の外に…

もんすたあさぷらいずどゆう surprise:3

「ちょっと、あの人本気にしてたらどうするのよ」 しばらく呆然としたままだったが、先にベラドンナが我に返って少し怒ったように呟いた。ジギタリスは、ベラドンナをにらみつける。「だって、ムカツクだろ。俺は俺で、この仕事に誇り持ってやってるんだ。 …

もんすたあさぷらいずどゆう surprise:2

「そこのお二人。戦士の方々とお見受けするが?」青いぼろをまとった貧粗な男が二人に声をかけてきた。二人は顔を見合わせる。それから、ジギタリスが男に気付かれない程度に軽くうなずいた。俺が話をつける、という事らしい。「はい、そうです。仕事のご依…

もんすたあさぷらいずどゆう surprise:1

「今日もまたオーガ狩り? 俺もういい加減飽きたんだけど」「そう? それじゃ、ジギタリスはここで私の帰りを待ってるんだね」 セルニカの食堂で、一組の男女が昼食をつつきながら、これからどこにいくかを話し合っていた。男は、白いチュニックに黒いズボン…

もんすたあさぷらいずどゆう プロローグ

「お兄ちゃん、どうか無事に帰ってきて」 床(とこ)の中で、祈り続ける少女がいた。帰ってこない兄の姿が頭の中に思い浮かぶ。逞しい腕や厚い胸板……いつも私のことを考えてくれて、守ってくれる優しいお兄ちゃん。 彼女はここのところずっとそこから動けず…

もんすたあさぷらいずどゆう

登場キャラクター